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販売手数料と交際費の区分けは難しい

大阪国税局が大手鉄鋼メーカー「神戸製鋼所」グループに対し、海外の販売代理店に支出した「販売手数料」5000万円を交際費と認定、追徴課税(更正処分)したことが報道されています。

同報道によると、神戸製鋼所は海外に機械を輸出した際に、現地の代理店に支払った5000万円を販売手数料として損金計上したそうです。しかし、この販売手数料の目的が明確でないことから、大阪国税局は同支出を交際費と認定し、重加算税を含めて追徴課税を課したということです。

会社が代理店等に支払う販売手数料と交際費の区分けは非常に難しく、実務においても迷うことが多くあります。また、税務調査においても、支出先や支出目的などを細かく調査される場合があります。
それというのも、販売手数料は一般に「商品の販売やサービスの提供に際して、代理店や外交員、仲介人等に支払う手数料」と解されていますが、その実態は非常に曖昧で幅広いからです。

たとえば、法人が販売手数料という名目で「売上割戻し(リベート)」を得意先等に支出する場合があります。この場合、「売上高若しくは売掛金の回収高に比例して、又は売上高の一定額ごとに」または「得意先の営業地域の特殊事情、協力度合い等を勘案して」金銭で支出した場合には交際費となりません(法人税措置法通達61-4(1)-3)。ただし、これを物品の交付や旅行、観劇等の招待というかたちで行った場合、その費用については交際費になります(同61-4(1)-4)ので注意が必要です。

また、「販売奨励金等(広告宣伝費)」も販売手数料として得意先等に支出される場合があります。この場合も、「販売促進の目的で特定の地域の得意先である事業者に対して販売奨励金等として金銭又は事業用資産を交付する場合」は原則として交際費にはなりません(同61-4(1)-4)。

その他、特約店等のセールスマンや従業員に支出した販売手数料、事業とは直接関係の無い者に対して支出した販売手数料(紹介料)などについても、個々に国税庁の取り扱い(通達)が公表されています。

おそらく神戸製鋼所のケースは、「販売奨励金等」のケースで、支出した販売手数料が「販売促進の目的」としての実態が無かったことを指摘されたのではないでしょうか?
もしかすると、交際費の例として示されている「下請工場、特約店、代理店等となるため、又はするための運動費等の費用」(同61の4(1)-15(2))と認定されたのかもしれません。

こうした指摘をされないためには、契約書等で「どのような目的」「どのような基準」で販売手数料を支払うのかを明確にしておくことが重要です。もちろん、その額は「相当」なものでなければなりません。

いずれにしても、販売手数料をめぐる税務は複雑で判断が難しいため、慎重に行う必要があります。

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